生活・衣食住

殺虫剤スプレー缶はどうやって廃棄すればよいか

長年、引っ越しのたびに悩みつつ、後回しにして放置していたことがあります。

不要になった殺虫剤スプレー缶をどうやって処分すればよいか分からず、
「まあいいか、使うかもしれないし」
と思って、後回しにしてきました。15年以上も・・・


15年以上経った殺虫剤スプレー缶

15年以上経てば、ずいぶんと年季が入っています。

かなりの年季の入りようです

殺虫剤には、いろいろと体に良くない成分が入っているはずですので、ベランダから「シュー」っとやるのは、なんだか気が引けてしまい、放置していました・・・ここできちんと調べて、しかるべき廃棄をしようと決断しました(おそい?)

殺虫剤の成分は?

15年以上前の殺虫剤スプレーですので、今とは基準や成分など違うかもしれません。ちょっと見てみます。

有効成分として、

  • d-T80-レスメトリン
  • d-T80-フタルスリン
  • (ピレスロイド系殺虫成分)

と書いてあります。CO-OP(生協)で買ったものですが、フマキラー株式会社が製造者ですね。
表示されている成分について、まずはピレスロイド系というのが何者なのか、調べてみました。

ピレスロイド系とは

Wikipediaで「ピレスロイド」を見たのですが、いろいろ書いているのをみるとどうも安全な雰囲気がします。
以下、いくつか抜粋して引用します。

ピレスロイド (pyrethroid) とは、除虫菊 (Tanacetum cinerariifolium (Trevir.) Sch. Bip.) に含まれる有効成分の総称で、今日では各種誘導体が合成され各国で広く殺虫剤として利用されている。

哺乳類・鳥類の受容体に対する選択毒性作用は無いので、安全性の高い殺虫剤である。

ピレスロイドは、哺乳類や鳥類に対して毒性を発揮しない(人畜無害)という特徴から、最も身近に利用されている防虫剤である。害虫駆除のためのピレスロイドの利点を列挙すると、速効性、忌避効果(嫌がってピレスロイド濃度の高い部分に近づかない)、フラッシングアウト(隠れている虫を追い出して殺す効果)、安全性(人間など、恒温動物に対して有害性が極めて低く、光や酸素で速やかに分解されるため、残効性が無い)が挙げられる

引用:Wikipedia「ピレスロイド」より概要・特徴などを抜粋

ということで、どうやら人畜無害の防虫剤なのだそうで人間や鳥など恒温動物に対しての有害性が極めて低く、光や酸素で分解されるという、なかなか人類にとっては都合のいい成分のようです。

もともと防虫菊という植物からの有効成分で、古くは蚊取線香に防虫菊からの天然ピレスロイドが使われていました。

その後、合成ピレスロイドが合成できるようになり、防虫菊から抽出される天然ピレスロイドはあまり使われていないようですが、有機農業向けには使われているそうです。

魚類には要注意!

注意点としては、魚類への影響があります。

以下の環境保健クライテリア、というページでは、合成ピレスロイド系殺虫剤についての概説や、今回のスプレーに含まれているレスメトリンについて、さまざまな実験の結果や評価がありますが、その中で
「魚類に対し高い毒性を示す」とありました。

https://www.nihs.go.jp/hse/ehc/sum2/ehc092/ehc092.html

ですので、部屋で熱帯魚やメダカを買っていたりする場合は、噴射した成分が入らないように注意する必要があると思います。

では両生類、爬虫類は?→これも要注意!

魚類がNGと分かりました。哺乳類には問題なしと分かりました。では両生類、爬虫類はどうなのでしょうか?

探してみると、爬虫類マニアのブログから「NG」ということが分かりました。以下のページで、アース製薬に問い合わせされたり、キンチョーのページを紹介されているので、間違いないと思います。

ペット用でも危険!ピレスロイド系殺虫剤の爬虫類に対する影響

ということで、変温動物である魚類、両生類、爬虫類には、ピレスロイド系は神経毒として左右し、危険性の高いものだとわかりました。

(寄り道:では恐竜に殺虫スプレーは聞くのか?)

こうなってくると恐竜はどうだったか気になります・・・さすがにそこまで解説しているページは見つかりませんでした。

安易に推測しますが、骨盤の恥骨の向きによって大きく2つに分けることができ、
・竜盤類:ティラノサウルスやディプロドクスなど
・鳥盤類:ステゴサウルスやトリケラトプスなど
に分けることができます。

だからと言って、「鳥」がつく「鳥盤類」は鳥に近くてピレスロイド系に強いかも、などとは言えなさそうです。なぜなら竜盤類のティラノサウルスなどが鳥類に進化したと言われますので・・・

キーワードは、恒温動物(哺乳類・鳥類)か変温動物(爬虫類・両生類・魚類)か、ということになるはずです。

では恐竜は恒温動物なのか、変温動物なのか・・・
これは今の時点では分かっておらず「恒温動物と変温動物の中間」という、なんともあいまいな研究結果が出ているようです。代謝率を化石の情報から比較していった結果だそうです。

今後もどんどん出てくる化石の研究、技術の進歩による研究結果から、
「恐竜には殺虫スプレーがきかない!」
「恐竜には殺虫スプレーがきく!」
のどちらかが言えるときが来るかもしれません。

殺虫剤スプレー缶の廃棄方法は?

話が少しそれました。
殺虫剤のスプレー缶の廃棄の仕方について調べてみます。

渋谷区のスプレー缶処理方法について

例えば、東京都渋谷区のホームページから、スプレー缶の処理方法について調べてみると、渋谷区では「資源ごみとして回収」しているようです。

引用:渋谷区「カセットボンベやスプレー缶は、資源として回収しています」より

もはや、ごみではなく資源としてスプレー缶も回収しているんですね(2019年11月時点)。

捨て方としては「中身を使い切って」袋に入れてお出しください、とありましたが、 殺虫スプレーをどうすればよいかについては記述を見つけられませんでした 。

横浜市のスプレー缶処理方法について

横浜市でのスプレー缶処理方法は、渋谷区とは異なり、週2回収集の「燃やすごみ」で出すそうです。
ここでも、殺虫スプレーをどうすればよいかについては記述を見つけられませんでした 。

ただ、ここで一つ発見したのが「中身が残っている場合の安全な出し方は、メーカー又は、一般社団法人日本エアゾール協会にご確認ください」という注意書きです。

一般社団法人日本エアゾール協会での処理方法は?

エアゾール(Aerosol、エアロゾルとも)というのは、「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子をエアロゾル(aerosol)といいます。」(引用:日本エアロゾル学会「エアロゾルとは」より)ということです。スプレー缶から「ぷしゅー」っと噴き出すと、空気中(気体中)に小さな液体(や固体)の粒子がばらまかれるので、スプレー缶のことをエアゾール缶とも呼ぶのですね。

引用:日本エアゾール協会の「正しいごみへの出し方」より

ここでも、正しいごみへの出し方については詳しく書かれていましたが、殺虫スプレーをどうすればよいかについては記述を見つけられませんでした。

結論:アース製薬に処分方法がありました!新聞紙にしみこませる

そしてようやくたどり着いたのが、アース製薬のウェブサイトのなかに「アースジェットに関するよくあるご質問:残ったエアゾールの処分方法を教えてください。」というものがありました。

Q:残ったエアゾールの処分方法を教えてください。
A:使い残した当社のエアゾール製品は、近所に迷惑がかからないように、広場など屋外で風上から風下に向けて中身を噴射しきってください(噴射音が消えるまでガスを抜いてください)。噴射レバーを引いたまま、スプレーキャップ側面の孔につまようじ等を差込むと、噴射レバーがロックされ最後までガスを抜くことができます。噴射が不十分な場合は、つまようじ等を押し下げると最後まで噴射できます。広場や屋外で噴射しきるのが難しい場合は、下記の<広い場所がない場合の方法> を参考にしてください。

<広い場所がない場合の方法>
ゴミ袋の中に古新聞やボロ布を入れて、その中で全量を噴射して染みこませ、そのゴミ袋を燃えるゴミとして廃棄する方法があります。この場合、すぐに袋を閉じず必ず袋の中のガスが抜けてから廃棄することが大切です。ガスが充満した状態や古新聞などが濡れた状態で火の中に入れると爆発や燃焼の危険性があります。

引用: 「アースジェットに関するよくあるご質問:残ったエアゾールの処分方法を教えてください。」 より

こちらが答えです。「広場など屋外で風上から風下に向けて中身を噴射」するもよし、広場がなければ「ゴミ袋の中に古新聞やボロ布を入れて、その中で全量を噴射して染みこませ」ればよいということですね。

ベランダで噴射処理を実践、かなりきつい作業でした

処分手順が分かったところで、実践です。

1.材料:ビニール袋と古新聞(orボロ布)

うちには新聞紙がなかったので、残っていたボロ布を使いました。


20年使い続けたぼろぼろのバスタオル。お疲れさまでした。

2.噴射前の段取り:ビニール袋にボロ布を入れる


ベランダで準備万端です

3.噴射開始

そして噴射開始。どんどんバスタオルに染み込んでいきます。それとともに周りに白いエアゾールが(XX)


最初はこの形で始めましたが、これではダメです、続きません

なかなか噴射も終わりそうな気配もなく、3回戦ほどこの形で繰り返しましたが、これではダメでした。

もっと噴射口にタオルを近づけて、煙が自分と向かい側に行くように工夫しないと到底続けられません。
下の写真のような感じで、自分の反対側に煙が向くようにし、顔を背けながら噴射を続けました。

4.そして完了・・・長く厳しい闘いでした

噴射しては、部屋に戻って息を整え、を繰り返すこと7回ほど。
当初使っていた親指だけでは耐え切れず、ひとさし指と中指も使いながら、10分ほど噴射し続けました。
やる前にスプレー缶を振った感じでは、液体が容器の2割ぐらいだけ残っているように思えたのですが、なかなか終わってくれませんでした。

10分ほど格闘し、ようやく完了。

噴射している最中、缶がどんどん冷たくなり、液体が缶を伝って下に垂れているような状態。

缶の縁に液体が溜まっているのが見えるでしょうか。水?それとも?

終わった直後、噴出孔は写真のように霜が降りたよう。タオルにも霜が降りていました(写真で伝われば幸いです)。

おそらくですが、噴射しているところはかなりの冷気で、噴出孔付近の水蒸気を凍らせたのかと思います。
終わった後のタオル、白いところは霜が降りたようになっています。まさかここまで冷却されるとは・・・

注意点としては、しばらく袋の口は開けたままにしておき、数時間置いてから廃棄しましょうとのことです。
燃性のガスが残っていたりするからかもしれません。

とにかく、これで中身を出し切りましたので、ごみとして(渋谷区などでは資源として)スプレー缶の日に捨てられます。

もし、年末年始にこの作業をされる方は、とても缶が冷たくなりますので軍手など用意してチャレンジしてみてください。

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