自然・生き物

丸太の材積計算に用いる末口2乗法について

2019年11月18日投稿
2019年11月28日更新

林業の世界では、山林から木を伐り倒して、余分な枝を取り(枝払い)、適切な長さ(4メートルなど)に切断(玉切り)して木材市場に搬出し、せりで値段がついて売られます。

この時の丸太の値段は、材積(体積)と立米(りゅうべい)単価でつけられます。

例えば、丸太1本の体積が0.36立米(0.36㎥)あったとして、立米単価が1万円なら、0.36×10,000=3,600円となります。

このときに丸太1本の体積0.36立米をどのようにして求めるのかについて、一般的に末口2乗法というものが使われますので、簡単にまとめました。

<2019年11月28日追記>
「末口2乗法」と書いていますが「末口二乗法」「末口自乗法」などいろいろな書き方が見られます。呼び方も「すえくちじじょうほう」「すえくちにじょうほう」と2種類ありそうです。慣習的にどうなのか、また地方によって呼び方が違うかもしれませんが、末口を2乗(末口×末口) して計算することには間違いありませんので、どれも正しいという考えでよいと思います。

1.使われる単位「立米(りゅうべい)」

まず、使われる単位ですが、立米という単位が使われます。丸太は1メートルあたりいくら、ではなく1立米(1立方メートル、1㎥)あたりいくら、という単位で売られます。

例えばスーパーに行ったときに、鶏肉は「100gあたり98円」などと表示されますが、丸太は「1立米あたり1万円」と行った値付けがされます。

立米は、りゅうべいと読みます。縦1m × 横1m × 高さ1mの立方体の体積の単位です。
面積の単位は、1平米(1平方メートル、1㎡、へいべい)ですね。

つまり木材市場では、立米を共通言語として利用し、立米単価を使って相場の状況を判断します。

2.末口2乗法の計算式

ということで本題の末口2乗法ですが、 JAS規格で決まっていて、長さ6メートル未満の丸太なら、

 計算式:末口の直径×末口の直径×長さ

です。つまり、細い方の小口(木の先端に近い方、末口とも呼ぶ)の直径を2乗したものに長さを掛け合わせて計算します。

こちらが末口のイメージです。逆に丸太の地面側を元口といいます。

例えば、末口が直径30センチ、長さ4メートルなら、その材積は
 0.3×0.3×4=0.36㎥
という計算になります。

末口の方を計算に使うので、丸太を作る(玉切り)ときに末口の位置をどこに決めるかによって、丸太の値段が変わってきます。わずかな差ですが、ちりも積もれば山となるので重要です。

補足:JAS規格での計算式

JAS(Japanese Agricultural Standards、日本農林規格)のページからも確認できます。

JAS規格の情報が掲載されている場所

方法1:農林水産省ウェブサイトのJAS一覧のページから 林産物を選ぶと、「素材」のPDFを開くことができます。(「平成28年最終確認」とあります)

方法2:もしくは、告示・通知のページからも「平成24年最終確認」とあり少し古いかもしれませんが、PDFだけでなくウェブページで確認することができます。

以下、方法1での確認場所です。

ここからPDFを開くと「素材の日本農林規格」ということで、詳細な規格の内容を確認することができます。

こんな感じ。細かくて分かりづらい・・・

末口二乗法の内容が確認できる場所

JAS規格の内容は色々細かく書かれていますので、詳細は読み込まなければならないのですが、今回の末口二乗法に関連する材積(体積)の求め方については、
 ・第5条:素材の標準的な材積計算方法及びその単位
 ・第6条:寸法の測定方法(の「丸太の径」のところ)
を読めば、大枠が理解できます。

第5条で、計算式が掲載されています。

上の黄色いところが、まず基本として理解するべき長さが6メートル未満のものについてのところです。

そのほかの注意点については、
・丸太の径の単位寸法は2センチメートル(第6条「素材の単位寸法」に記載あり)
 →最小径が20.1cmの場合でも21.9cmの場合でも、20cmで計算する
・丸太の長さの単位寸法は20センチメートル(0.2メートル)(第6条「素材の単位寸法」に記載あり)
 →実際の長さが3.99mの場合、材積計算では3.8メートルで計算する

ということになります。

まとめ:最低限覚えておくべきポイント

最後に、末口二乗法についてもう一度まとめておくと、
・末口とは、木の先端に近い方の切り口。根元側は元口。
・材積計算には、末口の直径を用いる。
・直径の単位は、2センチ刻み(2センチ未満は切り捨て)
・長さは6メートル未満まではシンプル(これが基本)
・長さの単位は、0.2メートル(20センチ)刻み(20センチ未満は切り捨て)
・材積の計算式は「直径×直径×長さ」。
・材積の単位は1立米(1㎥)なので、センチメートル単位で計算した場合は、10,000で割ればよい。

以上です。
理解進んで新しい気づきがあれば、さらに追記していこうと思います。

(投稿:2019年11月18日)
(追記:2019年11月19日:文章見直し。JAS規格について調べて追記。)
(追記:2019年11月28日:末口2乗法、末口二乗法、末口自乗法、どれも正しいと考える旨追記。)

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