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システムリリース後の後始末に忙殺されないための前始末が重要

段取り八分という言葉があります。

段取り八分とは、仕事を進める上で、事前の準備がいかに重要かを表した言葉。 仕事の段取りをキッチリしておけば、その仕事は8割完了したも同然であるという意味。 この言葉の後に、「仕上げは二分」と続くこともある。

引用:はてなキーワード

いろいろなプロジェクトに関わる方も多いと思いますが、システム開発でも
・プロジェクトの目的を明確に定めて
・スコープを明確にして
・全体のスケジュール(マスタスケジュール)を共有して
・直近のスケジュールを中心に細分化し
など、「いつ、誰が、何を、いつまでにやるか」を優先順位を踏まえながら決めていくのが、主な段取り八分に当たります。

もちろん、プロジェクトが進む中でもどんどん変更は出てくるので、その都度柔軟に段取りを組み直していく、といったことも必要です。

これを前始末と表現する人もいます。後始末を避けるために前始末をする、という考え方です。

ただし、いくら前始末をやったとしても完璧にコトがうまくいくことは稀で、ほとんどの場合にはシステムリリース後に何らかのトラブルが発生します。

そのトラブル対応は後始末に当たりますが、問題は、この後始末のための準備(前始末)ができていないケースが多いということです。

リリース後に向けた前始末が不足しがち

システム開発を例にすると、リリースを目指して前始末はしっかりするのですが、リリース後発生するトラブル(後始末)に向けた準備(前始末)が不足しているケースが多く見られます。

具体的には、リリース後に発生するトラブルなどの”事象”(インシデント)に対して、
・どうやって事象を共有するか(発生現場からシステムメンバーにエスカレーションするか)
・事象の暫定対応(これは一時的なもの)を実施し、落ち着くかせるまで管理するか
・事象の根本原因(問題=Problem)を明確にして解決まで管理していくか

といったことが明確になっていないケースがあるため、これを事前に設計しておく必要があります。

そもそもリリース後の運用を軽視されがち

大きな組織・プロジェクトになると、システムリリースまでの設計・開発フェーズと、運用のフェーズでチームが別れることもあります。

残念なことに、運用フェーズが軽視され、準備(前始末)が足らなかったり、十分なリソースが割り当てられないケースが多くなりがちです。

特に先進的な取り組みであればあるほど、エース部隊は1つのプロジェクトがリリースすると新プロジェクトの設計・開発に移る一方、運用フェーズを別チームに移管してしまうことで、運用フェーズでトラブルが長期化し、深刻化してしまうというケースが発生します。

さらに、
 エース部隊は、新しい取り組みをリリースまではやりきったので評価され、
 運用チームはトラブルが多発するため、尻拭いをしつつも評価されない
という悲しい状況も発生します。

そんな状況に陥らないためにも、リリース前の段階で、
・運用フェーズでの体制、役割を明確にする。
・トラブル発生時の手順を決めておく。
・根本原因を突き止めるため、設計・開発フェーズでの担当者(責任者)がきちんと協力できるようにしておく。

といった前始末もしっかり行なっておくことが、本当の段取り八分に繋がると考えられます。

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