本日(2019.1.15)、以下の記事を見つけました。
https://www.mag2.com/p/news/381873#start_point
内容は、官僚の出世や年金確保、政治家の議席維持のために、捕鯨関連の予算が継続され、また商業捕鯨を続けるべきだという空気になっているのが問題だと論じていて、たいへん興味深いものです。
その中でも、後半に説明されている「役人と政治家に殺される子供たち」というところで、鯨肉にメチル水銀が大量に含まれていることが説明されていました。
その量について「北大西洋で獲れるマッコウクジラの筋肉には、平均で0.7ppm(0.7mg/kg)のメチル水銀が含まれています」とのこと。
この0.7ppmは、よろしくない数字であるとのことですが、一体どの程度のものなのか分からないので、その意味をきちんと理解し、鯨肉以外にもどんな食材にどれだけメチル水銀が含まれていて、それをどれだけ食べると人体にはどれくらいの影響を与えてしまうのか、ざっくり理解したいと思います。
- メチル水銀とは?
- ppmとは?
- 0.7ppmとはどれだけの鯨肉?
- どれぐらい食べ続けるのがよくないの?(安全基準)
- 鯨肉以外にどれだけのメチル水銀が?
あたりを調べてみようと思います。
メチル水銀とは?
メチル水銀とは、Wikiペディアの冒頭をそのまま使うと、
メチル水銀(メチルすいぎん、英: Methylmercury)とは、水銀がメチル化された有機水銀化合物の総称。生物濃縮性の高い毒物である[1]。水俣病の原因ともなった。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/メチル水銀
とある通り、いわゆる有機水銀で、水俣病の原因にもなった非常に危険な化合物です。
ちなみに水俣病は、昭和の高度経済成長期に日本の負の遺産として日本人が知っておかなければならない、4大公害病のひとつです。
ppmとは?0.7ppmとはどれだけの鯨肉?
ppmとは、「parts per million」の頭文字をとったもので、100万分の1のことです。
・1,000,000(100万)グラム中1グラムで1ppm
・1,000グラム(=1kg)中1mgで1ppm
つまり「鯨肉には0.7ppmのメチル水銀が含まれる」ということは、1kgの肉のかたまりに0.7mgのメチル水銀が含まれている、ということになります。
・・・0.7mgが多いのか少ないのか、正直よく分かりません。。。
どれくらい食べ続けるのがよくないの?(安全基準)
メチル水銀の安全基準を調べてみます。
環境省に「水俣条約について」というサイトがあり、
https://www.env.go.jp/chemi/tmms/
この中に、「日本における水銀の規制等の状況」という補足資料があり、以下の記載がありました。
魚介類については「総水銀量で0.4ppmを超えるものについては、さらにメチル水銀の分析を行い、0.3ppmを超えたものについて暫定的規制値を超えたと判定する」
とあり、その右側には「総水銀:0.4ppm」「アルキル水銀:0.3ppm ※1(参考)」とあります。メチル水銀と書いていない・・・。ただし※1として「メチル水銀としての値」とあるので、メチル水銀とアルキル水銀はほぼ同じものと考えればよさそうです。(有機水銀化合物の総称として「アルキル水銀」と呼ぶそうです)
つまり、魚介類については、メチル水銀の基準値が0.3ppmであるということがわかりました。
ここで鯨肉に振り返ってみると「鯨肉には0.7ppmのメチル水銀が含まれる」とのことでした。
・・・
鯨肉って基準値超えてる!!!
愛知県衛生研究所のサイト
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/3f/gyo_hg.htmlw
をみると、
専門家会議では、当時入手できる限りの内外の研究資料に基づき充分な安全率をみこんで検討した結果、総量規制として体重50kgの成人の一週間のメチル水銀の暫定摂取量限度を0.17mgと決め、これを前提とし、国民の最大平均魚介類摂取量を基として魚介類の暫定的規制値を0.4 ppmと定めました。
愛知県衛生研究所サイト「魚介類中の水銀含有量について」より
とあり、やはり0.4ppmが基準のようです。
どれぐらい食べるのがよくないの?(何か基準はある?)
愛知県衛生研究所の「魚介類中の水銀含有量について」をみると「魚介類中の総水銀濃度(1989-2002)」が掲載されていました。
※「あくまで目安」とのことです
※総水銀のうちメチル水銀がおよそ90%あったとのことです。
- アサリ・・・0.01ppm
- イワシ・・・0.02ppm
- アジ・・・0.03ppm
- タイ・・・0.05ppm
- サンマ・・・0.07ppm
- キンメダイ・・・0.12ppm
- カツオ・・・0.23ppm
などで「鯨肉の0.7ppm」よりは低く、基準値の0.3ppmも下回っています。
結論
特に妊婦の方は、鯨肉のような食物連鎖の最上位にいる食材をハイペースで食べるのはやめたほうがよさそうですが、それ以外の方は、水銀が危険だから魚介類はやめたほうが良い、などと考える必要はなく、気にせず美味しく肉も魚もバランスよく食べるのが一番だと思います。