最近の政府系、環境系セミナーに参加するとよく耳にするようになったのがSDGsです。2015年9月の国連での発表を機に、ここ3年ほどで広まってきました。 このSDGsの全般を簡単に理解できるようにまとめてみます。
■ざっくり把握する
SDGsは何の略か?
SDGsは、
Sustainable:持続可能な
Development:開発の
Goals:ゴール、目標
の略です。
日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。
いつ出来たのか?
2015年9月の国連サミットで採択されたことで、その後世界中で使われるようになりました。
日本ではいつから動き出したのか?
2016年5月にSDGs推進本部が設置され、第1回会合が行われました。 総理を本部長、官房長官と外務大臣を副本部長としています。この2016年5月にはSDGs採択後初のG7サミットが伊勢志摩で行われました。
どんな国が参加している?
国連サミットで全会一致で採択されたものですので、国連加盟193カ国が掲げた目標だと言えます。
いつからいつまでの目標なの?
採択されたのは2015年9月ですが、2016年からの15年間、2030年までに達成することとしました。
どれくらい目標があるの?
全部で17の目標があります。カラフルなロゴが公開されていて、みんなの意識に残りやすいですね。
ちなみに下の丸いロゴは「カラーホイール:colour wheel」と呼ばれていて、それだけでSGDsのことを表現することができます。
公式サイト(国際連合広報センター)からもダウンロードできます。 https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/
17の目標を箇条書きにしてみます。
- 1. 貧困をなくそう
- 2. 飢餓をゼロに
- 3. すべての人に健康と福祉を
- 4. 質の高い教育をみんなに
- 5. ジェンダー平等を実現しよう
- 6. 安全な水とトイレを世界中に
- 7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 8. 働きがいも経済成長も
- 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 10. 人や国の不平等をなくそう
- 11. 住み続けられるまちづくりを
- 12. つくる責任つかう責任
- 13. 気候変動に具体的な対策を
- 14. 海の豊かさを守ろう
- 15. 陸の豊かさも守ろう
- 16. 平和と公正をすべての人に
- 17. パートナーシップで目標を達成しよう
世界中の人々が幸せになるために、もれなくやっていくべきことを17の目標にぎゅっと凝縮したということですね。
おそらくすべての人が何かをするとき、その活動はきっとこの17の目標のどこかに繋がっていくはずです。
それがたとえ玄関前の掃除だとしても。犬の散歩だとしても。
以下からは、もう少し細かく内容を見ていきます。
■詳細を把握する
169のターゲット
17の目標は、それぞれが複数のターゲットを持っています。 全部で169個あるので「169のターゲット」と呼ばれます。
例えば、目標1には、7つのターゲットがあります。
目標 1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
- 1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
- 1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
- 1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
- 1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
- 1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害への暴露や脆弱性を軽減する。
- 1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
- 1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。
※公式な翻訳は2019年5月時点で見当たらなかったため、UNIC(国際連合広報センター)にある、「外務省仮訳」から引用しています。
※ただし1.5は日本語訳に疑問があるため、てにをはを1箇所見直しています。
「災害に暴露や脆弱性を軽減する」→「災害への暴露や脆弱性を軽減する」
ターゲットの中には「2030年までに」という期限を設定したり、「1日1.25ドル未満」といった数字を使って定義しているものもあったり、「十分な保護を達成する」といった明確な数字では示さなかったりと、表現には一定の違いがあります。
毎年の報告書により達成状況を可視化
毎年報告書が公開されていて、各国の達成状況が比較されています。
http://sdgindex.org/assets/files/2017/2017-SDG-Index-and-Dashboards-Report--compact.pdfには、2017年の各国の進捗状況が可視化されているのが分かります。
なお http://sdgindex.org/reports/からは、2018年の最新版を含め、様々な形式での報告書をダウンロードすることができます。
報告書では、スコアをつけて国別にランキングを公表したり、
国別・17の目標別に達成度合いがわかりやすく可視化されたりしています。
毎年の評価を続けることで、達成状況が可視化され、目標達成に近づいていくことになるのがとても重要なことだと思います。
ちなみに日本を見てみると・・・
となっていました。2017年時点でまだ赤いのは、
- 5: Gender equality(ジェンダー平等を実現しよう)
- 12: Responsible consumption and production(つくる責任つかう責任)
- 13: Climate action(気候変動に具体的な対策を) 15: Life on land(陸の豊かさも守ろう)
- 17: Partnerships for the goals(パートナーシップで目標を達成しよう)
の5つです。
5の「ジェンダー平等を実現しよう」については、最近LGBTなど色々と目にする機会が増えている気がしますが、それでも世界レベルでみると遅れているという評価になっています。
そのほか気候変動や陸上生態系の保全など、まだまだやるべきことがあるということですね。
■まとめ
SDGsについて簡単にまとめます。
- Sustainable Development Goalsの略
- 日本語に訳すと「持続可能な開発目標」
- 2015年9月の国連サミットで採択され、使われ始めた
- 17の目標が2030年を期限として設定されている
- 17の目標それぞれに、全部で169のターゲットが設定されている
- 毎年達成状況がモニタリングされ、レポートで評価される