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井伊商店「宇和島麦みそ」についてのメモ

愛媛県宇和島市の井伊商店の麦みそについて、2022年10月からTwitterなどのSNS上で話題になったので、経緯を把握して自分の考えも整理しておきたくメモします。

事実関係を整理

1. 【10月13日】愛媛県の南予地方局宇和島保健所が井伊商店へ指導文書を通知

10月13日に愛媛県南予地方局が、表記法に基づく文書指導を通知した模様。
以下の内容は井伊商店向けの内容をYahoo!ニュースが報じていたものです。

(別記)
 井伊商店が販売する「味噌」は、大豆を使用していないため「味噌」「麦みそ」と表示すことは食品表示基準に違反しているものである
 一般消費者に対し、実際のものよりも優良であると示すものであり、景品表示法第5条第1項の規定に違反しているものである。

2022.11.02 Yahoo!ニュース記事「地域特産の“麦みそ”製造会社に県から突然「景品表示法に違反」その後一転して見解を軌道修正 “麦みそ”表示はどうなる?」の写真「愛媛県からの指導文書」より

2. 【10月26日】井伊商店店主が要望書を提出した旨、Twitterに投稿し訴えた

このタイミングで「宇和島麦みそを味噌と名乗れなくなる(パッケージに「味噌」と表示できなくなる)」ということには納得できないと店主自らがTwitterで訴えました。

要望書としては「宇和島麦みそ文化の存続を求める有志一同」ということで、井伊商店・伊予醸造株式会社・山内商店の3社により提出されています。

3. 【10月29日】アベプラで取り上げられ、ひろゆき氏のTwitterで情報が拡散し話題に

店主のツイートから3日後には、アベプラ(ABEMA Prime)というインターネットテレビ局ABEMAのニュースチャンネルでこの話題がとりあげられ、特にひろゆき氏が岸田政権、消費者庁、農水省を強烈に批判しネット上で話題となりました。

4. 【11月4日】県が10月13日付けの指導を取り消した

11月4日付けで、愛媛県南予地方局が不当景品類及び不当表示防止法に基づく文書指導(10月13日付け)については取り消しました。

「麦みそ」は「みそ」表示でOK 愛媛県が指導取り消し謝罪
https://mainichi.jp/articles/20221104/k00/00m/040/325000c

毎日新聞 mainichi.jp より

これにより、商品パッケージに表示している「味噌」について表示することを罰せられることは無くなりました。

個人的なメモ

以下は個人的なメモです(2022年11月5日時点)

11月4日の愛媛県の指導文書取り消しによって『井伊商店が販売する「味噌」は、大豆を使用していないため「味噌」「麦みそ」と表示すことは食品表示基準に違反しているものである』と県が指導することは今後なくなるのではないかと思います。

甘さが独特の宇和島麦みそ。私も好きなんです。

つまり井伊商店は、これまで通りのパッケージ(「味噌」「麦みそ」といった表記)で商品販売を続けられると考えられるので、ひとまず騒動は収まるかと思います。

ただし、今回の騒動でもう1つの課題が浮き彫りになりました。

それは「みそ」や「麦みそ」の定義についてです。
簡潔にいうと「大豆を少しでも使わなければ麦みそとは呼ばない」という日本の定義です。
井伊商店の「麦みそ」は、はだか麦と塩しか使わない言わば「麦100%」の麦みそなので大豆は使っていません。

大豆を使わなければ味噌とは呼ばない、という定義は、みその品質表示基準やJAS規格で以下のようになっているのが根拠のようです。

大豆若しくは大豆及び米、麦等の穀類を蒸煮したものに、米、麦等の穀類を蒸煮してこうじ菌を培養したものを加えたもの又は大豆を蒸煮してこうじ菌を培養したもの若しくはこれに米、麦等の穀類を蒸煮したものを加えたものに食塩を混合し、これを発酵させ、及び熟成させたもの

食品表示基準、JAS規格の「みそ」についての箇所から一部を抜粋

一般人の私にはとても読みづらく、どこで文章を区切ればいいのかが分かりませんが、、、大豆を含むことが必須となっているようです。

さらに、みそのJAS規格としてはつい最近(2022年3月31日)に制定されたということが、今回の騒動(保健所の指導)に繋がったのかもしれません。(参考:「みそ」の日本農林規格が制定されました 食品表示ブログより)

この2022年3月のJAS規格制定の際に、麦100%の味噌があるということがうまく伝わらなかったことが問題という考え方もありますが、今回の騒動を「遅くなったけどなんとかうまく伝わった」とポジティブに捉えて、すでに制定されてしまったとはいえ次のJAS規格の修正に繋がればよいなと思います。

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