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F2Cがこれから拡がる可能性あり

F2Cがこれからの小売・物流業界、中でもアパレル系でどんどん進みそうな気配です。
 F2C: Factory to Customer(Factory to Consumerでもよいと思う)
つまり、工場から直接顧客に届けるという小売のスタイルです。

少しピントがずれますが、ビジネスの世界ではB2B(B to B)やB2C(B to C)という言い方がよく出てきます。
 ・B2B:Business to Business・・・企業対企業の取引
 ・B2C:Business to Consumer・・・企業対一般消費者の取引
いわゆる3文字略語です。

F2Cの強みは?

F2Cということになると、B2Cつまり企業と一般消費者との取引がベースになるかと思います。
物流に視点を置くと、B2Cの中でも、
 <店舗小売>海外工場 → 倉庫 → 店舗 → 消費者
 <F2C>海外工場 → 消費者
と分けることができます。
そして、F2Cでは消費者までのルートがシンプルで、スピーディな配送形態であることが分かります。

ユニクロなど、店舗以外にネット販売でEC(E-Commerce)を実現していますが、
 <EC(ネット販売)>海外工場→倉庫→消費者
となります。
ネット決済を通じて服を自宅まで届けてくれますが、これは海外工場から直接自宅に届けているわけではなく、国内の大規模な倉庫に在庫を持ったうえで、受注してから送りますので、工場から直接というわけではありません。つまり在庫保有のコストがかかってしまいます。

つまりF2Cの強みは、受注を受けてから工場で製造を開始するため倉庫に在庫を持たない=在庫リスクを抑えられると言えます。

KASHIYAMAのF2C

ビジネスマン向けのオーダースーツを扱うKASHIYAMA the Smart Tailor(オンワード樫山)

「そのスーツ、どこの?」のCMが記憶に新しいですが、店舗で採算を行いデータを受注登録すると、即座に工場での生地裁断が始まるという連携が行われることで、最短1週間で自宅にスーツが届く仕組みができています。

さらに女性靴でもF2C

KASHIYAMA the Smart Tailorは、女性向けの靴のオーダーメイドサービスも2019年11月に開始しました。(プレスリリースはこちら

素材やヒールなど、組み合わせは約30万通りあり、9,900円(税抜)~という価格設定でオーダーメイドの靴を注文できます。
人の足はそれぞれだし、左右でもサイズが違うし、ということで店舗で採寸してオーダーし、しかも受注後最短1週間で自宅に届けてくれるとは、驚きです。
まずは、東京表参道と大阪本町の2店舗でサービススタートとのことですが、採寸など店舗で行ったうえで注文ができるのだと思いますが、自分自身で採寸し、直接サイト上で注文もできるようです。1度注文して履いてみたら「次は右足だけ0.5cmサイズアップしよう」「色だけ変えてみよう」などの微調整ができるところがリピーター増加にも繋がりそうですし、今後の動きが楽しみなビジネスモデルです。

ゾゾは失敗?オーダーメイド、高単価ならうまくいくのか?

ゾゾスーツ(ZOZOSUIT)が話題となったZOZOTOWNですが、これもある意味データを顧客側で登録して、オーダーメイドのスーツなどを工場で生産するという発想だったのだと思いますが、工場体制が甘く生産が追いつかなかったことで、失敗したように見えます。

いくらITの技術で情報の連携やデータ分析が行われるようになっても、中国や東南アジアでの製造工程や物流がボトルネックになって納品が遅れてしまうと、ユーザーの評価が得られず、事業としてはなかなかうまくいかないことになってしまいます。

スーツや靴といった単価がある程度高い(1万円以上)という商品なら、生産体制も整えやすく、F2Cの実現がやりやすそうです。

とはいえ、小売、特にアパレルでは在庫をどうやって削減するかが長年の課題で、工場から顧客までのリードタイムを縮めることが大きなテーマになっていますので、今後F2Cの動きは加速していくでしょう。

もしユニクロが2週間で工場から自宅に届けられるようになると画期的ですね。3年後ぐらいには実現してしまいそうです。
直接店舗で手に入らないので「すぐ必要」という場合はマッチしませんが、在庫管理コストも抑えられるので価格も下げられるはずです。

すでにスーツ(ジャケット・パンツ)やシャツでは、最短3日で届けてくれるところまで出来ているようです。

もし数年後、ユニクロでいろいろな商品のF2Cが始まったとして、
「工場から届くまで2週間待ってくれるなら2割引!」と言われたら、2週間待ってでも安く買う消費者がたくさんいそうですね。
そういうキャンペーン待ってます(笑)

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